あなたが会社を原因とするストレスを抱えている場合、多分、あなたの同僚も、同じようにストレスに参っているでしょう。

あなたは、会社に一矢報いるために、彼らを巻き込んで一緒に闘おうと考えるかも知れません。

 

確かに、仲間がいるのは心強いし、個人で行うのに比べて証拠確保の手段が増えるなどのメリットもあるのは事実です。でも、僕は、基本的に独りだけでたたかうことを勧めます。

僕自身が、極めて利己的な人間であるということもあるのですが、そうでなくとも、グループでたたかうことは、先に述べたメリットよりもデメリットのほうが大きいと感じるからです。

数人のグループをつくって会社とわたりあう場合、みんなで最初に団結を固く誓うでしょう。

しかし、悲しいことですが、日が経つうちに闘争意欲を失う人間が、1人か2人は必ず出るものです。足並みが揃わない仲間が出るほど、たたかいの障害になることはありません。

交渉が進んで、落としどころを探る段階になっても、メンバーの意向をいちいち気にしなければなりません。

それなら最初から、独りで作戦を立て、独りで実行し、自分自身が納得のいくたたかいをすべきです。

 

独りでたたかうことは、会社に金銭の支払いを求めているような場面では非常にメリットとなる場合があります。

 

仮に、あなたが過去2年分、合計200万円の不払い残業代の支払いにつき会社と争っているとします

あなたは会社が否定できない証拠を揃えており、出るところに出れば、会社が間違いなく窮地に立つような上司の失言も押さえています。

このとき、あなたが独りでたたかっており、他の社員を巻き込んでいない状況であれば、会社が解決に応じる可能性はけっこう高いのです。

しかし、組合を通じて交渉したり、そうでなくても他の社員を巻き込む行動、ビラを配ってたたかいへの参加を呼び掛けたりしたり交渉の詳細を伝えたりしていた場合にはどうでしょうか。

会社はなかなか解決を決断できません。何とかして引き延ばそうとします。理由は分りますね。

あなた独りであれば200万で済む話でも、同じように不払い残業をさせていた社員が10人いたら会社は2000万円を、100人いたら2億円を用意しなければなりません。

会社にとっては、それが一番怖いことなのです。

 

ですから、交渉の場でこう開き直ってくるでしょう。

 

「社員みんながそんな要求をしてきたらウチは潰れるぞ」

「君は、君だけでなく他の社員も失業するよ。それでいいのか」

(エステの経営者で、実際にこう言ったひとがいましたね)

 

このとき、あなたが独りでたたかっているのなら、こう言えるでしょう

 

「私は、自分自身のために交渉しているのです」

「他の社員、一緒にたたかうこともせず、私にただ乗りしようとする社員に興味はありません」

「私に対して支払ってもらえるなら、他言はしません。書面にしてもいいです」

「私が引き下がった、会社は支払いに応じなかった、と広めても構いません」

 

こうすれば、会社側も妥結がしやすくなります。

実際問題として、自分ではリスクを取らずに傍観していただけの同僚に、あなたがリスクを冒して勝ち取った果実を与える必要はありません。

 

たたかいは、自分のためだけに、利己的にやるのがいいのです。

相談する相手がいるとしたら、それは同僚でなく、弁護士などの専門家です。