自力でははるかに強い相手と戦う場合、ノックアウトの完全勝利を狙ってはいけません。

最も理想的な展開は、こちらが優位性を保った体勢で膠着状態に持ちこみ、そこから有利な和解、いわゆる「勝利和解」をすることです。

 

証拠集めをはじめとする準備行動の際は、質・量ともに、裁判になっても通用するレベルの材料を集めなければなりません。

しかし、実際に会社とわたりあう段階では、裁判での解決は最良ではないというのが僕の考えです。

確かに裁判でこちらの請求が全て、あるいはほとんど通った内容の判決を得られれば、完全勝利、ノックアウト勝利かも知れませんが、それには費用も、そして何より時間がかかるのです。割に合いません。

 

あなたが有利な証拠、経営者の粗暴・無知・オバカを証明するような証拠をしっかり押さえている場合、会社としても訴訟にはしたくないと考えているはずです。

公開の法廷(よほど世間の注目を集める事件以外、傍聴席は関係者以外いないことが多いですが)でそういう証拠が晒されるのを嫌がるのです。

 

会社としても、もし訴訟されたら勝訴判決が期待できない、有利な和解も難しい、経営者のオバカが晒される、と思えば、訴訟を起こされて余計な弁護士費用を使って結局負けるより、裁判外で解決したいと思うでしょう。

会社がそう思ってくれれば、こちらのペースを保ったまま和解交渉も出来るのです。

逆説的な言い方ですが、訴訟になっても負けない準備が出来ているからこそ、訴訟にしないで早期に解決できるのです。

 

日本が、大国ロシアと戦った日露戦争では、日本の目標はロシアの南進を阻止することでした。日本は完全勝利を目指さず、有利な体制で膠着状態に持ち込み、最後はアメリカの仲裁で講和しました。

講和の段階で、相当の譲歩は求められたものの、もし状況が有利なことを過信して、完全勝利を目指して戦争を続けていたら、体力に優れたロシア軍が体勢を立て直し、反撃に遭って負けていたかも知れません。

 

会社とは、体力差があることを忘れてはいけません。

もし、あなたが自分の集めた証拠に自信を持つあまり、会社と有利な和解交渉ができる状況なのに、「判定勝ちなど満足できねえ。ノックアウトあるのみ」と、早まって自分から訴訟を起こしてしまったら・・・・。

 

会社は、もう訴訟になっちまったらしょうがねえ、とばかり、開き直るかも知れません。

そして、証拠上勝ち目がない会社の多くが何をするかというと、引き延ばしです。次々と、言いがかりのような主張を出しては、期日を重ね、あなたをどんどん疲弊させます。

また、引き延ばしをしている間に、何かあなたを陥れる材料がないか、あなたの過去の仕事を調べたり、内部規定に違反することがなかったかを探したりします。

およそ、会社勤めをしていれば、内規と異なる事務処理をするケースはあると思うのですが(内規じたいが非現実的な内容だったりする)、それを見つけて、またあなたに対する攻撃材料とするのです。このような泥沼の消耗戦になると、本当に疲弊しますし、「もういいや」という気持ちが出てきてしまう。次第に戦意喪失していくことになります。そして、それこそが敵の狙いなのです。

 

こちらの証拠がしっかりしていれば、判決になっても、訴訟上の和解をするとしても、まぁ負けることはないと思いますが、同じ結果を得るための、時間的・精神的・体力的なコストが大きくなってしまいます。

ですから、可能であれば、訴訟外で決着をつけるように相手を誘導することが大切です。

 

5つの弁護士事務所で強力サポート!!
完全成功報酬型の残業代請求無料相談センター