「○○ユニオン」とか「△△合同労組」という名前の、個人で加入できる労働組合があります。この記事では、以下「ユニオン」と呼ぶことにしますが、労働組合の組織率が2割を切り、会社の横暴がまかりとおる現代社会において、虐げられる労働者を救済するために、これらユニオンが果たした役割は少なくありません。

団体交渉を通じ、数々の成果をあげているのは事実ですし、会社と闘う手段としてこれらの労組に加入することを勧める書籍やネット情報もたくさんあります。

でも、僕は、もしあなたがこれら外部労働組合に加入して会社と闘おうと考えているのであれば、「ちょっと待って。慎重に」とアドバイスしたいと思うのです。

 

<確かに労組にはメリットもあるが・・・>

労働組合法により、労働組合は団体交渉を申し入れることができ、会社は原則としてこれを拒否できません。また、労働組合が手続きを踏んで行う争議行為は、これによって会社に売上減少などの損害が生じても、組合は罪に問われることはなく、損害賠償をする必要もありません(刑事免責・民事免責)。

実際、ユニオンの委員長や書記長が仕切る団体交渉は、強い語調で会社を正面から批判し、糾弾するもので、被害を受けた従業員本人から見ても、頼もしく感じると思います。

企業内組合と違い、ユニオンの委員長や書記長は会社と雇用関係が無い訳ですから、何でも思ったことが言えます。会社の前でビラを撒いたり、ときには社長の個人宅周辺でアジ演説をしたりします。会社にとってはやっかいな存在です。

 

反面、これらの利点は、あなたの闘争の中で、欠点として作用することがあります。何より、「あなた個人の闘い」から「ユニオン全体の闘い」に移行することで、あなた自身が闘争をコントロールすることが難しくなります。

会社前でのアジ演説やビラまき等、あなたがそこまで望んでいなかった過激な闘争方法に否応なく進むこともあります。

 

こういう闘い方もあることは認めます。あなたが、金銭解決より自分の受けた被害を広く世間に知らしめて会社を糾弾したい、と考えるなら、こういう闘い方が最も相応しいと思います。

 

ただ、問題なのは、「あくまで自分自身のために」有利な金銭賠償を勝ち取ろうとするとき、すなわち「名より実」を求めるときです。

 

派手な闘争行為により、配られたビラにより、あなたと会社の争いはあなたの同僚全員が知ることとなります。「闘いは地味にやる」とは正反対の状態となるのです。

有利な証拠を押さえていることを交渉の武器として、同僚には秘密にすることを条件に会社と有利な和解をする、といった、会社としても乗り易く、短期間で効率よく当方が実を確保できる手段を用いる機会は、一切なくなってしまうのです。

 

派手な闘争を繰り返すと、マスコミに報道されることもあります。

名前や顔を隠しても知っている人には丸わかりですし、会社としてもマスコミが騒げば、自社の正当性を主張してとことん突っ張るしかなくなります。無理やりにでも時間稼ぎをして、引き延ばしにかかるでしょう。その間、闘争行為を続けるユニオンは名を上げるかも知れませんが、あなた個人の問題の解決は、結果的に遅くなるかも知れません。

 

<組合の基本は『相互扶助』だ>

労組に加入すると入会金や会費を支払うことになりますが、これは同志として組織を維持するための経費負担であり、何かのサービスを受けるための対価ではありません。そして、あなたの案件に他の組合員が力を貸してくれるのと同じように、あなたも他の組合員を援助する立場になります。これまで縁もゆかりもなかった会社に赴き、ビラをまいたりする活動にも参加しなければなりません。

あなたがそういう活動に生きがいを見出すのであれば、それもひとつの生き方ではあります。しかし、僕と同じような利己主義者で、自分の問題が解決したら平穏な日常に戻りたいと考えている人にとっては、「自分が助けてもらったから」という義務感だけでその後の運動に参加することになり、それはすぐに苦痛になります。

まして、組合の活動、様々な大会や勉強会などは、概ね土曜・日曜に開催されることが多いので、休日もゆっくり休めなくなります。

ユニオンを立ち上げるような人は、強い信念と使命感を持ち、強いリーダーシップで組合員を引っ張って行こうとします。組合ですから、タテマエは民主的に運営されていますが、実際には委員長のワンマンであることも多い。

委員長の方針に違和感を覚えると、「学習しろ」と言われます。ユニオンの世界では、委員長の方針が理解できないのは、学習が足りないと総括されるのです。

これでは、会社の他にもう1箇所、上司部下の関係で働く場所が出来るだけです。割にありません。

 

「生きづらさ」感じていませんか?

 

何度も言いますが、あなたがユニオンの活動に参加することに自分の人生の意義を見出し、他人と助け合い共闘することを人生の喜びとするのなら、ユニオンに参加することは構わない、というよりぜひ参加すべきです。

 

しかし、「まずは自分の問題が片付けばいい」という人は、ユニオン参加は慎重に考えるべきだと僕は思います。

 

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