ネットで「内容証明」「内容証明 作成」で検索すると、おびただしい数の「内相証明作成代行業者」がヒットします。

広告を出している大半が、行政書士です。

 

今、実際に検索をしてみて、検索結果から適当に3つほど開いてみました。

それぞれに書かれていたセールストークを引用してみます。

 

「本通知書作成代理人行政書士○○○○」という職名と職印の入った内容証明を発送すると、法律家の関与を相手に伝えることになり、重みが増して感じられ、かなり効果的です」

 

「作成代行(者)として行政書士の名前を入れることにより、相手に心理(的)プレッシャーをかけることができます」

*( )内は当サイト管理者が補記

 

「行政書士名で送られてきた内容証明郵便は内容にかかわらず相手に強いプレッシャーを与えます」

 

はたしてこれは本当でしょうか?

 

 

内容証明を、弁護士以外の職名で出すのは逆効果

僕自身は、企業の総務・法務部門での仕事が長く、それ以前は損害保険会社の査定部門で賠償交渉を担当していましたので、一般のサラリーマンよりは内相証明郵便を受け取る機会はかなり多かったと思います。

その立場から申し上げれば、行政書士の職名を入れた内容証明は、まず間違いなく逆効果です。

 

弁護士が内容証明を出す場合、それは受任した仕事のスタート合図のようなものです。

弁護士は、内容証明の送付だけでコトが終わるとは思っていません。相手が要求を拒否することを前提に訴訟の準備を進めています。

ですから僕らは、弁護士からの内容証明を受け取ると、まず、その事案に関する当方の主張が訴訟に耐えられるかどうかの判断をします。

争うことのリスクが大きいと思えば、早い段階で和解(示談)の道を探るなど、何らかの対応をすることになります。

 

これに対し、行政書士は「文書の作成」そのものが仕事です。文書の作成をもってその業務が完結します。それ以上のことは出来ないのです。

 

弁護士の場合は、内容証明郵便の出状がスタートでしたが、行政書士ではゴールなのです。

 

行政書士の職印のある文章が送られてきても、「本人はこう言っています。本人に代わって文書を作りました」というだけです。

内容証明は、「(当方の要求に応じない場合には)法的手段をとりますので念の為申し添えます」といった文言で締めくくるのが一般的ですが、行政書士の職印を添えてこれが書いてあっても、「(私はこれ以上のことはできませんが)本人は法的措置を取ると申しております」という意味にしかなりません。

 

もちろん、行政書士の中にも、上手な内容証明郵便を作成する能力のある人は多くいると思いますし、弁護士と違って訴訟に係れない分、内容証明の文案をしっかり練り上げ、出来る限り内容証明だけで決着がつく確率を上げようと考える良心的な人もいるでしょう。

「内相証明が来た」というだけでビビってしまう素人相手なら、確かに効果があるかも知れません。

しかし、よほどの零細企業は別として、一応総務関係の部署がある規模の会社組織に対しては、行政書士の職印は残念ながら無力、いやむしろ逆効果だと思います。

 

実際に、行政書士の職印つきの内容証明郵便を受け取ったとしたら、僕がまず思うのは、

「弁護士に頼むツテや資力はないんだな」

「だったらしばらく放っておいて、相手の出方を見てからでも大丈夫だな」

ということでしょう。

「心理的なプレッシャー」には全然なりません。

逆に、相手の兵力の限界が見えるため、心理的な余裕ができるだけです。

 

作成代行料を払うなら、そのお金で法律相談を

行政書士に内容証明の作成を依頼した場合、その費用は1万円から3万円位までが相場のようです。

それだけの費用をかけるのであれば、僕としては、問題点を整理した上で弁護士に相談することを勧めます。

弁護士の相談料は、概ね30分5,000円ですから、1時間~2時間の相談が可能です。

その方が、事件全体の解決に関する相談ができ、効果が大きいと思います。

最初に出す内容証明に、事実関係やこちらが握っている証拠のどこまでを書くかということは慎重に判断する必要がありますし、

そもそも今が内容証明を出す段階なのか、ということも含め、弁護士に意見を聞いておいた方がいいと思います。

 

相手が会社でこちらが個人の場合、経済力に大きな差があります。

安易にネットで探した行政書士に「文書作成料」を支払うより、限られた軍資金は有効に使うべきだと思うのですが、如何でしょうか。