転職する場合、給与や休日、職務内容など、処遇条件が気になるのは当然ですが、それ以前に、その会社の業績、そしてその会社が属する業界の今後の展望についても、十分な検討が必要です。

 

高い賃金が提示されていても、入社してから会社の業績が悪化すれば、その処遇が維持される保証はないからです。

 

特に、業績連動の賞与については、「前年度実績」はあくまでも前年度のそれであって、今年度も、あるいは来年度以降もその金額が支払われると約束されている訳ではありませんので、注意すべきです。

 

 

斜陽の業界にある会社は避けた方がいい

 

転職する場合には、一般論として、斜陽の業界より今後伸び代のある業界を選んだ方が無難です。

 

衰退の方向にある業界に属する会社の経営者が、自社の生き残りを模索する中で、自分の片腕としての経営幹部を求めて人材募集するケースは良くあります。

 

結構高待遇ですし、中高年が管理職として転職するチャンスとは言えます。

 

そして、もし自分の手腕で会社の立て直しが出来れば、非常にやりがいがある仕事だとは思います。

 

しかし、実際のところ、会社の立て直しというのは容易ではありません。

 

その会社だけが業績が悪いのであればともかく、業界全体が衰退している場合、そしてそれが構造的な問題である場合には、一個人の努力や才覚では、この流れに逆らって会社を立て直すことは、極めて難しいというのが実際のところでしょう。

 

あなたが星野リゾートの社長並の経営手腕を持っている場合は別ですが、そうでない場合は、無謀なリスクは避けるのが無難です。

 

リスクを取ることが一概に悪いとは言えませんが、特に中高年の場合、48歳で転職した会社が52歳で倒産しました、では悲し過ぎます。

 

 

次々と新規出店している会社も要注意

 

一方で、ものすごい勢いで新規の店舗や拠点を作っている会社も要注意です。

 

出店攻勢が続いている会社は、傍目には非常に好調に見えますし、経営者も生き生きしており、魅力的に見えます。

 

拠点が増えて組織が急激に膨張する結果、幹部社員の募集も年中行われているような状態で、エージェントから紹介される機会も多いでしょう。

 

しかし、僕の経験上、出店攻勢をかけている会社というのは要注意です。

外から見える姿と違って、内部に入ると資金的にも組織的にもガタガタな場合が少なくないからです。

新規出店じたいが目的化して、社内の人材が育つより早いスピードで新規出店を続けているのですから、店や拠点の数は増えるものの、その中身はスカスカになるのは当然です。

当然、予定利益は上げられません。

 

次々と拠点を増やす会社は、経営者の意識が「新規出店」だけに向いています。

新たにできた支店が今後中長期的にきちんと運営されていくかどうか、という視点はどこかに行ってしまい、開店した段階でもう興味は次の新設案件に移っています。

 

新規出店は、設計建築をはじめ、備品の購入やら何やらで、色々な業者が潤うことになります。

ですから、次々と店舗を出す社長の元には、これらの業者が日参し、社長の経営手腕を褒め称え、ひたすらヨイショしまくります。

 

毎日これらの褒め言葉を浴びた社長は、ある種の万能感を持つようになり、さらに出店攻勢に拍車がかかる、ということになります。

 

こうなると、新規出店はもう止まりません。

 

新規に計画される店舗の中には、立地やその他の要素から判断して、採算を取るのが難しいようなものも出てきます。

係数に明るいあなたが、「現実に則して計算すればどうやっても赤字になる」と判断しても、イケイケ状態の経営者はそれを受け入れません。

逆に、正しい見込みを伝えたあなたを罵倒したり、無能呼ばわりしたりします。

結果的に、机上の空論でバラ色の収益予測を作らざるを得ません。

 

そして、いざ稼働して半年・1年が経過した後、「見込みと違うじゃねえか!」と怒られるのもあなたです。

 

財務の問題もあります。

 

銀行からの借り入れに依存して新規出店を続けている場合には、当然に返済負担が重くなっていきます。

 

自己資金を厚く入れている場合には、会社の現金預金が建物などの固定資産に化けるので、流動資産が目減りし、当然に流動比率も悪くなります。

 

つまり、身の丈を超えた拡大は、どちらにしても良い結果を生まないということです。

 

出店攻勢をかけている会社は募集も多いですし、紹介会社にとっても良いお客になっています。

だから、エージェントも「勢いのある会社ですよー」と勧めてくるのですが、あなたには一歩引いて、冷静にその会社について判断して欲しいと思います。