上司の暴言、差別的発言、違法行為の強要などをICレコーダーで録音しておくこと、それらの証拠を複数回分集めることが重要なことは、「証拠の収集」カテゴリーの記事で、再三書いてきました。

労働問題に限らず、現代において、録音・録画で証拠を残すことは、いざ争い事が起こったときに、自分の言い分が正しいこと、相手がウソを言っていることを客観的に証明するために、非常に重要になっています。

ただ、相手との会話を録音するという行為じたいが、その後にその録音を使用する意図があるということですから、録音をしたあなたに対し、第三者がある種の先入観を持つことは避けられません。

「この人は被害者だと言っているが、巧妙に罠を張って相手を引っ掛けたんだろうな」と感じる訳ですね。

そして、あなたが将来この録音を聞かせるかも知れない第三者、これは裁判官の場合もあるし、労働局の斡旋担当者の場合もあると思いますが、彼らもまた、そう感じる可能性があります。

裁判官や役人は、公平なジャッジや和解斡旋をするのが仕事ですが、「狡猾な奴に騙されたくない」という気持ちをどこかで持っています。

もしかしたら裁判官や労働局の斡旋担当者は、あなたが録音を用意している事実を知ったとき、

「パワハラ被害者だ、パワハラで適応障害になったと言いながら、ちゃっかり隠し録音をする位の冷静さと計算高さが保たれているじゃないか。おめおめ、こいつの金稼ぎに加担してはいけないな。慎重に見なきゃ」

と考えるかも知れません。

上手に立ち回らないと、「この労働者、甘えやがって」という感情を持たれて、証拠の評価も厳しいものとなる可能性がないとはいえないのです。

 

<パワハラ証拠録音は “弱いものいじめ” がよく分るように作る>

前置きが長くなりましたが、上司の違法行為の強要やパワハラの様子を録音する場合には、誰がどう聞いても、善悪がはっきりするような内容、あなたが一方的被害者で、上司は一方的な加害者であるとしか認定できないような内容にしておく必要があります。

証拠収集の間は、間違っても、安っぽいドラマにあるような上司への対応、堂々と張りのある声で「そんな指示を実行したら、○○法違反になりますよ」とか、「時間外手当の未払いは労働基準法37条1項に反しますよ」などと正論を述べるような真似をしてはいけません。

そういう主張は、いよいよ会社と対峙する場合までとっておきましょう。

録音しているときにあなたが演じるべきは、気が弱く、強く出たらそれ以上文句が言えない弱々しいサラリーマンです。これじゃ、あまりにも酷いよね、と聞いた人誰もに感じて貰えるような録音内容になるように、意識して作らなければなりません。

 

<パワハラ録音は、”弱気な懇願”と”威圧的暴言”のヘビーローテーションで>

では、具体的にどうしたら良いかというと、「あなたはおずおずと上司にお伺いを立てる」「それに対して上司は威圧的な大声や暴言であなたに対応する」という状況が、何度も繰り返されるような内容の録音証拠を作ればいいのです。

あなたは、なるべく下手に出て、懇願口調で上司にお伺いを立てます

「仕事量が増えて、毎日11時過ぎまで仕事をしていますがこなし切れない状況です。”残業代は月に20時間までで打ち切り” というのを、少し上限を増やしていただけないかと・・・・」

「しかし、毎日深夜まで残業した上に、休日にも出てこないと、仕事が終わらないんです。人を増やすか、それが無理なら、せめて休日出勤の手当を請求させていただけたら・・・・」

「来週の日曜日、緊急の営業会議をするとのことですが、実は前から法事が入っておりまして・・・・」

というように、語尾ははっきり言い切らず、相手に下駄を預けるような言い回しにします。

パワハラ上司という人種は、基本的にサディストで、弱いものを見ると痛めつけたい、いびりたいという欲求が体内に充満してくるという性質を有しているので、あなたが下手に出れば出るほど、暴言や罵倒が出やすくなるのです。

「てめえ、ふざけるなよ。基本給はもらってんだろう。それだけでもお前のような低能には多すぎるんだよ。残業代なんて100年早い。いい年して社会の常識知らないのかよ? 親がちゃんと躾けないからお前のような奴が出来るんだ。あ、そうか、お前片親だもんな。欠損家庭で生まれ育てば欠陥人間が出来るという見本だな」

「休日に出たから何だ、偉そうに言うな。お前の仕事が遅いからだろ。休日なんてのは、仕事ができる奴にしか認められないもんなんだよ。お前みたいなクズが休みたいとか人並みなことを言うな。戦争中は休みなんかなかったんだぞ」

「売上が目標を大きく下回ってるから、日曜に緊急会議を招集したんだろうが。法事だ? そんなに法事が好きなら、とっとと会社辞めて、毎日法事やってろ!」

こういう、誰が聞いてもヤクザかキチ○イとしか思えないような発言が飛び出して来るのです。このような発言が出ても、あなたは「そこを何とかお願い出来ないでしょうか・・・・」と、懇願の態度を崩さず、”懇願” ⇔ “罵倒” のヘビーローテーションになるように誘導して下さい。

ちなみに、上に書いた3つの上司の暴言例は、想像の産物ではなく、上2例は同僚が実際に言われていた内容を元にしています。また、最後の法事の例は、何を隠そう、僕自身が言われたものです。

前にも書いたことがありますが、弱者である私たちにとって、「証拠」とは、コトが起こった後から探し集めるものではありません。事態が進行している状況の中で、「意識的に作るもの」です。

上司の暴言を録音する場合は、是非このことを覚えておいてください。

そして、闘いの黄金律とは、「自分は常に被害者の側である」ということだということも、お忘れにならないように。

 

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