このカテゴリーでは、休職のメリットを中心にお話してきましたが、どんな良薬にも副作用があるのと同じで、休職にも思わぬ落とし穴がある場合があります。

休職期間を使ってステップアップし、転職につなげようと思っている方は、特に注意して読んでください。

 

転職先には、元の職場の『源泉徴収票』を出す必要がある

転職の面接で、「現在うつ病で休んでいました」と馬鹿正直に申告する人はいないでしょう。うつ病は昔に比べて格段にポピュラーなものになっていますが、採用の現場で「鬱経験あり」はかなり採用のハードルを上げると思って間違いありません。

そこで、面接では鬱や休職の経験は伏せ、むしろ「バリバリやってる情熱社員」であることを前面に出してアピールするのですが、いざ転職がかなって新しい勤務先に出勤したとき、初日に人事課から言われるのが「前の勤務先の源泉徴収票を出して下さい」ということ。「え、何か問題なの?」というあなたは、自分の危機感のなさを多少反省した方がいいかも・・・・。

 

仮にあなたがX社に勤めており、平成26年10月から平成27年2月まで5ヶ月休職し、休職期間に転職先を決めて、翌3月にY社に転職したとしましょう。

課税年度は1月から12月までですから、あなたは前の会社から交付された平成27年度分の源泉徴収票を出すことになります。あなたが休職せず普通に働いていれば、1月と2月の賃金の合算額がそこに書かれていなくてはならないはずが、支給額が0円(ブランク)である場合、人事課では「?」ということになります。

仮にあなたが傷病手当金や労災の休業給付を貰っていたとしても、これらは会社が払う賃金ではありませんので、当然に源泉徴収票には記載されません(そもそも、これらの給付金には課税されません)。

在職していたのに給与支給はゼロ、となれば、人事課の職員ならすぐピンと来るでしょう(ピンと来ない人事課員は正直適性がないと思う)。

「2月まで在職してたというのが本当なら、こりゃ休職してたんだべさ。怪我してた様子でもないし、精神疾患に間違いないな」

 

こうなっても、すぐに入社を取り消されることはないでしょうが、入社直後に「信用ならん奴」というレッテルを貼られてしまい、出社が苦痛になるようでは転職した意味がないでしょう。

また、不幸にしてその会社がまたしてもブラックで、再度うつ病になった場合でも、会社から「以前にもうつ病で休職したことがあるらしいし、彼の体質だよ」と主張された場合に、反論が難しい。そして、「うつ病を隠して入社して、それだけなら多目に見ようと思ったけど、再発して業務に支障をきたすなら、『面接時の虚偽申告』ということで解雇しよう」なんてことにもなってしまう可能性があります。

 

これがもし、X社勤務時に、26年の7月から11月まで休職し、26年の12月から職場復帰、その上で27年2月でX社を辞め、3月にY社に転職したとしたらどうでしょうか。

新しい職場であるY社には「当課税年度」である27年についてX社が作成した源泉徴収票を出せばよく、そこには27年の1月と2月に通常に働いた分給与額が記載されています。26年以前の源泉徴収票は求められないわけですから、何の問題もないわけです。

 

休職歴があるとき、住民税についてはどう対応するか

尚、この他に「前年の所得に課税される住民税」という問題があります。26年の所得に対する住民税を給与天引き(特別徴収)で行う場合、27年の6月の給与から天引きが始まるのです。

ただ、住民税の特別徴収が義務付けられているのは「その年度の1月1日時点であなたが在籍していた会社」「前年に給与の支払実績のある会社」です。

 

上の、「26年7月から11月まで休職、26年の12月職場復帰、27年2月でX社退職、3月にY社に転職」という流れだった場合について考えてみましょう。

 

あなたは27年2月末に退職する際に、それまで特別徴収されてた税金(これは25年度の所得対して課税され、26年の6月から27年の5月まで給与天引きされるもの)については、27年5月引き落とし予定だった分までまとめて最後の給与で精算してしまうか(一括徴収)、残りの分は自分で支払う(一般徴収)かのどちらかにします。可能であれば一括徴収にしてしまうのが面倒がなくて良いでしょう。

そして、26年の所得に課税される住民税(特別徴収なら27年6月から天引きが始まる)については、5月頃にあなたに「住民税額の決定通知書」が送られてきます。あなたがX社に残っていればX社に通知されるのですが、もう退職しているのであなたに直接送られるのです。これをY社に持っていけば特別徴収にして貰えますが、26年度の所得をY社に見せたくないときは、この時点で自分でとっとと納付してしまいましょう。Y社の人事部から聞かれたら、「26年度分はもう自分で納付しちゃいました」と言えば、「ああそうですか」となって終了です。

 

休職の直後に転職を考えている場合には、どのタイミングで復職すべきかをよく考えて計画を立てる必要がある、というお話でした。

 

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