会社のストレスが原因でうつ病になって休職する場合、普通は健康保険の「傷病手当金」を請求することになります。

 

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しかし、厳密に言えば、傷病手当金は「私傷病のために仕事を休んだ」ときに請求するものです。

仕事を原因とする疾病の場合は、傷病手当金でなく「労災保険」の対象となるべきものなのです。

 

<ケガと違って”病気”での労災申請が難しい理由>

工事現場で高所から落ちてケガをしたようなケースは、誰が見ても労災事故であり、その点で揉めることはありません。ところが、ケガではなくて”病気”の場合だと、「本当に仕事が原因なのか」ということを詳しく調べられます。

過重な労働が原因で心筋梗塞や脳溢血を起こすことは十分ある得るのですが、私生活上の不摂生や本人の体質による可能性もあるので、仕事と疾病との「因果関係」が詳しく調べられるのです。

その結果は、往々にして従業員に厳しいものになります。

ましてや、うつ病や適応障害などの精神疾患の場合、かなりハードルが高くなるのが実情です。労災保険の補償は非常に手厚いので、バンバン認定していたら、財源が足りなくなるからです。

 

<労災認定されたらこんなに美味しい>

もし、あなたの精神的疾患が「業務に起因するもの」と認められ、労災が適用になれば・・・これはもう、最高に美味しいケースです。”私傷病”として傷病手当金を貰いながら休職するのとは雲泥の差です。

 

● 労災が認められると、治療費がタダになる

私傷病(傷病手当金を受給)の場合、基本的に医療費の3割は自己負担です。自立支援医療の適用を受けて1割まで負担率を下げることは出来ますが、これは通院治療費に限られ、入院医療費への適用はありません。それに対して、労災では基本タダですから、安心して治療を受けることが出来ます。

 

● 休業に対する補償の厚さが違う

傷病手当金の支給額が標準報酬の2/3、およそ67%であるのに対し、労災の休業補償ではなんと80%になります(基本給付60%+特別給付20%)。休業補償金には所得税がかかりませんから、まず生活に困ることはないでしょう。

 

● 休職できる期間が違う

”私傷病”による休職の場合、休職可能な期間は会社が就業規則で定めます。そもそも、休職制度を置くこと自体が義務ではありませんので、会社によっては制度すらないこともあります。また、傷病手当金の支給期間も1年半が限度です。

これに対して、労災による休業期間は、簡単に言えば「治癒するまで」あるいは「症状固定するまで」です。精神疾患の治療期間は長引くことが多いのですが、この間、会社はあなたをクビにすることは出来ません。就業規則に休職期間の定めがあろうが関係ないのです(正確には「打切補償金」を支払えば解雇できるのですが、およそ3年分の賃金に相当する金額を支払う必要があるので、これをする会社はまずありません)。ついでに言えば、復職後1ヶ月間も解雇が禁止されています。なにしろ”私傷病”でなく”公傷”ですから、立場的には非常に強いのです。

 

● 労災保険からの給付以外に、会社に損害賠償の請求ができるかも

労災認定を受けたということは、うつ病になった原因が会社・仕事にあると公的に認められたことです。

パワハラなどの不法行為、あるいは労働環境を整える義務違反(債務不履行)が会社側にあり、それがうつ病になった原因だと認められれば、労災保険から給付される治療費・休業補償以外に、会社に直接損害賠償金を請求することが出来ます。

これについては、いずれ稿を改めて記事を書かせていただきます。

 

<精神疾患の労災認定に基準ができた>

かつて、精神疾患の労災認定は、非常にハードルが高く、かつ時間もかかるものでした。

1年以上も待たされた挙句、「業務との因果関係が不明」として否認されるようなことが多く、よほどの場合(肉体的な暴力を受けて重傷を負ったなど)以外は、申請しても認定されませんでした。

申請を受けて調査をする労働基準監督官も、明確な基準がない中では、よほどの確信がないと、上司に「労災認定妥当」という決裁書は出せなかったでしょう。

それに対して、現在は、労働に起因した精神疾患について、労災の判断基準が明確化され、公表されていますので、監督官も仕事がやり易くなっているのではないでしょうか。

今でも、ハードルが低くなったとは言い難いのですが、基準が明確化されたことは大きな進歩です。

 

それでは、実際に労災認定基準を見てみましょう。下記にリンクを載せておきます。

[厚生労働省のホームページにリンク]

精神障害の労災認定 (まずは5㌻からの「心理的負荷評価表」、それから12㌻の「労災認定フローチャート」、13㌻の「労災認定事例」を見て下さい)

心理的負荷による精神障害の認定基準の概要 (ダイジェストです)

心理的負荷による精神障害の認定基準 (全文です)

 

具体例があって分りやすいですね。

過去6ヶ月間に「強」が1つ以上あると認められれば、晴れて労災認定されます。

「中」が2つ以上ある場合は、詳細を調査し、検討の上で労災かそうでないかを決めます。当然ながら2つより3つ、3つより4つあったほうが、認定される確率は高くなると考えられます。

また、本当に仕事が原因かを確かめるために、私生活上で精神疾患を惹起するような事情(離婚や家族との死別等)がなかったかも調べられます。

 

僕自身は、労災申請して闘った経験がないので(僕がパワハラ上司に壊されたときはまだ認定基準がなく、不確実な長期戦をする訳にいかず、断念しました)、自分の経験から皆さんに伝えることが出来ません。

ですが、労災認定はとにかくメリットが大きいので、基準も明確化されている今日であれば、可能性がある方は是非チャレンジして欲しいと思っています。

 

参考になる情報は提供させて頂きたいと思い、認定を勝ち取った経験が書かれているブログをいくつか見てみました。それぞれ大変参考にはなるものの、会社との闘いはケースバイケースで個別性が強く、1人の成功体験が他の人にそのまま役立つとは限らない、というのが正直な感想です(ですからこれらのブログのURLを貼ることは差し控えます。皆さん自身で検索なさって下さい)。

 

ここは、やはり専門家、それもうつ病による労災申請を数多く経験している専門家の力を借りるのが最も安全確実な方法だと思います。

社会保険労務士の三嶋 道明先生が書かれた「うつ病で労災認定を受ける方法」というマニュアルは、うつ病で労災申請する場合の手順が具体的に解説されており、それぞれの段階での注意点やノウハウが具体的に書かれています。

僕自身、法律や手続の基本的なことは理解しているつもりでしたが、各段階での注意点には素人では思いつかない、ハッと虚を突かれるものが多くありました。

購入者特典として、無料メール相談・無料電話相談が出来るのも大きな魅力です。普遍的な内容のテキストを読むだけでなく、自分の具体的な事案について相談できるからです。

労災認定に挑戦する人は、失敗したくなければ是非読んでおくべきマニュアルだと思います。

特定社会保険労務士が教える「うつ病で労災認定を受ける方法」

 

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