労災認定を受けることのメリットは、他の記事で述べた「労災保険からの給付が傷病手当金によるものより格段に有利」ということに留まりません。

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労災認定されたあなたのうつ病の原因が、パワハラや違法行為の強要など、会社の『加害行為』『反社会的行為』によるものだった場合、労災保険から給付されるもの以外に、会社に直接損害賠償金の請求をすることが容易になるのです。

会社に損害賠償を請求する場合、法律上の理屈は、大きく2つ考えられます。

会社は、職員が安全な職場環境で働けるよう配慮する義務があり、これに違反したとして「債務不履行責任」を問えるのです(民法415条)。

 

また、不法行為責任を問うことも出来ます。不法行為とは、他人の権利や法律上保護される利益を侵害することです。あなたが正常な環境で働く権利を侵害した上司、またその使用者である会社には、損害賠償義務が発生するのです(民法709条)。

 

通常、パワハラの場合、債務不履行責任・不法行為責任の両方が成立するのですが、もちろん、賠償金を二重にとれる訳ではありません。賠償金を払わせる理屈が2つある、ということです。

 

さて、いずれの理屈による場合でも、パワハラ等で損害賠償請求が認められるための最大の難関が、パワハラ行為とうつ病発症の間に「相当因果関係があること」を職員の側で立証することです。

 

 

パワハラとうつ病の発症に『相当因果関係があること』とは

簡単に言えば、あなたのうつ病の発症と、こちらが「パワハラ」だと主張する会社の行為との間に、社会常識に照らして関連性を認めることができるか、ということです。

第一に、会社や上司がしたことがパワハラ、言い換えれば、上司の指示・命令・指導が適正な範囲を逸脱して精神的・肉体的苦痛を与える程度であったことそんな状況に置かれれば誰でもうつ病になっておかしくない程度だったこと、を証明することが必要です。

会社に勤めていれば、上司から注意を受けることは良くあることですし、業務上の指導が全てパワハラになる訳ではないからです。

あなたが普通の人に比べて極端に感受性が強く、ごく普通の業務指示や注意を与えたに過ぎないのにそれが原因でうつ病になったとした場合、会社に「そこまで気を回せ」というのはいささか酷な話で、社会通念とも相容れません。相当因果関係が認められるためには、通常人の常識に照らして、「こうしたら、こうなるだろうな」という予測が成り立つこと(これを予見可能性といいます)が必要なのです。

また、うつ病は業務以外の要因でも発症する可能性があるのですから、うつ病の原因が私生活上になく、確かに会社にあるということを明らかにしなければなりません。

 

 

労災認定があるということで、因果関係の問題はクリアされている

いささか前置きが長くなりました。

実は、会社を相手に損害賠償の請求をする場合、この因果関係の問題が非常に厄介なのです。

会社は必ず、「パワハラではなく、通常の業務上の指示や注意だった」と言います。その上で、「この程度でうつ病になるとは通常考え難く、この職員が極端に精神力が弱かったか、感受性が特別に強すぎたか、あるいは会社以外の私生活にうつ病になる原因があったかのいずれかだ」と主張してきます。

しかし、あなたのうつ病について既に労災の認定が下りている場合、それは「会社のパワハラ行為はかなり酷いもので、うつ病発症との間には相当因果関係がある」ということを、国の機関である労働基準監督署が認めているということです。

仮に裁判になっても、「労基署で労災として認められた」ということをそのまま証拠として出すことも出来ます。

もちろん、裁判所は独立した機関ですから、「労基署の認定は認定として、裁判所はそれにとらわれずに独自に判断をする」というのがタテマエです。ですが実際には、労基署の認定を尊重する傾向にあります。

労働基準監督署が労災認定をするにあたっては、会社に足を運んで調査し、会社と職員の双方から詳細な事情聴取を行い、私生活上に原因がないかの確認まで丹念に行うことは裁判官も知っています。また、労基署における精神疾患の労災認定は、非常にハードルが高いことも理解していますので、労基署が労災と認めているものについては、よほど特別な事情が無い限り、これに沿った判断をする傾向にあります。

会社は労災を否定しようと必死で立証活動をするでしょうが、よほどの証拠を出さなければ覆すのは困難でしょう(そんな証拠があれば労基署の調査の段階で出しているでしょう)。無理な主張を繰り返せば、かえって裁判官の心証を損ねる結果にもなりかねません。

 

裁判になっても有利ですし、裁判になっても勝ち目がないと思えば、会社が訴訟外で和解に応じる可能性も高まります。

 

これほど有利な労災認定ですから、厚生労働省が発表している認定基準を確認し、「7 業務に関し違法行為を強要された」とか「8 達成困難なノルマを課された」、あるいは「29 ひどい嫌がらせ・いじめ・暴行を受けた」といった、会社に問題がある事情で「強」に該当する可能性がある方、「中」が複数ある方は、周到な準備の上でチャレンジしてみてはどうでしょうか。

参考リンク:厚生労働省 「精神障害の労災認定基準」

 

尚、チャレンジする場合でも、せっかく労災認定の可能性があるのに、素人考えで突っ走って失敗しては元も子もありません。ここは、うつ病による労災申請を数多く経験している専門家の力を借りるのが最も安全確実な方法だと思います。

社会保険労務士の三嶋 道明先生が書かれた「うつ病で労災認定を受ける方法」というマニュアルは、うつ病で労災申請する場合の手順が具体的に解説されており、それぞれの段階での注意点やノウハウが具体的に書かれています。

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労災認定に挑戦する人は、失敗したくなければ是非読んでおくべきマニュアルだと思います。

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