これは、休職中の過ごし方とも関係する問題です。

もしあなたが、休職期間を使って難関資格を取得しようとする場合は、その試験日を考慮して(多くの難関資格は試験日が年1回しかありません)、休職の開始日を定める必要があります。

ここでは、このような個別事情は別として、休職を開始するタイミング=きっかけの作り方、について、考えてみましょう。

 

まず、可能性は薄いとはいえ、労災認定の可能性がなるべく高くなる形での休職が望ましいのは言うまでもありません。

また、労災認定されるかどうかはともかく、「原因は会社にある」との主張が一定の説得力を持つような状況にしておくほうがいいのです。

場合によっては、就業規則に規定がなくても、休職期間を延長するとか一定期間の給与支払いなど、条件面で有利な交渉も可能になるからです。

 

さて、では具体的に、休職に入るタイミングを考えてみましょう。

激しい叱責を受けたような場合は、一応のタイミングとは言えます。

でも、一応相手に理が(かなり自分勝手な理であることも多いのですが)あるとも捉えられるようなケース、例えば「営業成績がノルマに達しなかったから本人の将来のために強く指導したんだ」とか相手が言い出した場合、その叱責が明らかに不当なものだとは、第三者には判断しにくいんです。

もちろん、そのノルマが極端に常識はずれのことはままある訳ですが、判断をする第三者(お役人様とか)はあなたがしている仕事については素人ですから、そのノルマの「常識はずれの度合い」がまず分からないのです。

ですから、単なる「厳しい上司」の「愛の鞭、指導」だと捉えられる可能性があります。

このことが分かっているので、もし公の場でその「パワハラ」を判定するような機会があれば、間違いなく会社側はそういう主張をしてきます。

「本人の将来を考えた、愛情のある指導だった」「少々の行き過ぎはあったかもしれないが、本人がそれを理解してくれないのは残念だ」などなど…。

この状態で戦いに入った場合、相手の主張をひっくり返すための努力はすべきですが、何とも骨が折れる上に、良い結果となる保証はありません。

 

では、どんなパターンでの「休職突入」がベストなのか? それはズバリ、経営者や上司から、「違法行為の強要」を受けたときです。

だいたい、ブラックな企業というのは、内向きだけでなく、外向きにもブラックです(外面に美白化粧をほどこしてホワイトのふりをすることはありますが、化粧の下の素顔は真っ黒です)。

外向きにブラックな会社は、内向きにもブラックであり、内向きにブラックな会社は、外向きにもブラックだというのは、まず間違いのないところでしょう。

 

あの、「ミートホープ」の社長が率いていた会社は、虚偽表示で消費者を騙して混合肉を売っていました。このように、外向きにブラックだった「ミートホープ」の社内で、労務管理がきちんとなされ、労働者の権利が法律の定めに従って確保されていたとは、どうにも考え難いですよね。

 

あなたが、産地偽装の虚偽表示の指示や、二重帳簿をつけよ、といった指示を受けた場合は、ひとつのチャンスと言えます。

あなたが、総務・人事・労働管理系の部門の中間管理職、あるいは現場の管理職であれば、「タイムカードを押した後で残業させろ」などという指示を受けたら、チャンス到来です。

「社会の一員としての法遵守の義務と、会社の違法な命令との間で板挟みになり、結果精神を病んだ」といった理由が使えます。

これは、その発言の証拠をとっておけば、かなり有利です。受診する心療内科の先生にも、そのように話してカルテに書いてもらうことも大切です。

 

現実問題として、いかに業務命令であったとしても、違法な業務執行は、それを実行した本人も刑事責任を問われます。

あなたが中間管理職で、「従わなければクビになる」という切羽詰まった状況で、やむを得ず社長の指示したタイムカードの定時打刻、以後のサービス残業の強要を実行したとしても、指示した社長とあなたは、基本的に同罪です。

あなたには多少の情状は認められるかも知れませんが、社長に刃物を突き付けられた状態でやったのでもない限り、「正当防衛」や「緊急避難」の主張は通りません。「業務命令+クビの圧力」程度では、不可避だったとの判断にはなりません。

法衣を着て高いところから見下ろした裁判官から「違法な業務命令なら断ればよかったじゃないですか。もしそれでクビになったら、不当解雇なんだから、訴えたらいいでしょう」と言われるのがオチであります。

 

単に「激しい叱責」ですと、本人の感受性の問題、としてかたづけられてしまうことが多々あります。少なくとも、水掛け論的なやり取りとなり、第三者が裁定を下すのは困難です。

しかし、コトが「違法行為の強要」であれば、その口調等がそれほど激しくない場合でも、とにかく会社(=社長)にとって都合が悪く、外部にもち出されたくないので、あなたの休職の申出をすんなり呑む可能性が高くなるのです。

 

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