最近、「ブラック社労士」を含む検索ワードから、当ブログにアクセスして下さる方が増えています。

 

「社員をうつ病にして追放する」だの、「精神的に追い詰めるのが楽しくなる」だの、果ては「自殺されても因果関係を否定できる証拠を作っておく」などの内容をブログに記載していた社労士の問題は、テレビのニュース等ではあまり続報を見ないものの、未だにネット社会での関心は高いようです。

 

しかし、この事件が起こる以前から「ブラック士業」という言葉じたいは存在し、それをタイトルにした書籍も販売されてます。

 

3年ほど前にも、すき屋を展開するゼンショーの代理人弁護士が裁判所や労働委員会で

「アルバイトは”雇用契約”でなく、請負契約類似の”業務委託契約”である」

「よってアルバイト店員は労働者ではないから、時間外手当を支払う必要はない」

「アルバイト店員が加入したユニオンとの団交に応じる義務もない」

という主張を展開し、あまりの無理筋な論理が世間の失笑を買ったことがありました。

 

この他、某中小企業で退職後に未払い残業代を請求した元社員に対し、会社の代理人弁護士から「引継が不十分で損害を受けた」として、請求した残業代の何倍もの損害賠償金を払えという内容の内容証明が届いた、という事例もあります。

アルバイトを辞めようとした学生の親に、会社の代理人弁護士から損害賠償を請求する書状が届いたという事件も報道されていました。

 

このような、会社に雇われた士業が無茶をやるケースは、実はかなり多いのです。

 

もちろん、これらの荒唐無稽な主張は、裁判所では到底認められるものではありません。

ゼンショーの例では、都労委・中労委・地裁・高裁と負け続け、「ゼンショーならぬ全敗」と揶揄されました。

 

 

恐らく、会社の代理人としてこれらの主張をした弁護士も、結果が出る前からこのような主張は認められるはずがないことは、十分認識していたでしょう。

 

分かっていながら、そのような主張をしていた訳です。

 

そうする理由について、ある人は「とにかく時間稼ぎをすることによって、資金的に弱い労働者が諦めるのを待っている。そのために、無茶だろうが何だろうが、争点を増やすために主張を出して来るのだ」と解説しています。

 

正解だと思います。

 

特に後者の「時間稼ぎ」については、正攻法では勝てないと踏んだ会社側が、労働者の体力切れによる棄権を狙って、意識的に行うことがあります。

 

 

ただ、僕にはもうひとつ、特に中小企業の顧問をしているブラック士業が、分かっていながら無茶をやる理由があるように思います。

 

ブラック会社の経営者は、「自分が間違っていた」と認めることに、ものすごく抵抗を感じるタイプの人が多いのです。

まして、たかが労働者相手に、自分の非を認めることなど、絶対にプライドが許さないと思っている人たちなのです。

 

ですから、顧問弁護士や社労士に、「残業代を払わない俺は正しい」という理屈を考えるように求めるのです。いわゆる無茶振りです。

 

これを諌めるのが本来の士業のあり方だと思うのですが、ブラック経営者は、士業から諭されるのも嫌なのです。

自分が「雇っている」士業から、なんで説教されなくちゃいけないんだ、と考える人たちなのです。

だから、士業の立場からすれば、説得は骨が折れるし、下手にご機嫌を損ねると今後の顧問契約にも影響するのです。

 

その辺りを心得ている士業は、「アルバイトは実は労働者ではなかった」というような、裁判所では通らない「超理論」を考えだし、それを経営者に提示して喜ばせるのです。

 

その上で付け加えるのを忘れません。

「裁判所は考え方が古いから、なかなか認めないかも知れませんけど」

 

こうしておけば、ブラック企業の経営者は、敗訴しても「自分の考えは正しい。ただ、裁判官の頭が古くて、理解できないだけなんだ」と、一定の満足をしてくれるのです。

トンデモ理論を持ち出され、余分な時間と手間を使わされる労働者はいい迷惑ですが、士業と経営者の間は、丸く収まるのです。

 

このあたりが、トンデモ理論を持ち出すブラック士業が減らない理由だと思うですが、如何でしょうか。