転職に有利な資格として、英語(TOEIC)、ビジネス実務法務検定、そして簿記を挙げました。

事務系管理職でも、人事や総務畑を歩んできた人の中には、会計に関してははあまり得意でない、経理に関することには苦手意識がある、という人も少なくないと思います。

かくゆう僕も、ある時期まではそうでした。

データがある訳ではなく、僕の勝手な感覚でしかありませんが、どうも法学部出身者に会計アレルギーのある人が多い様に思います。

 

大企業の場合、自分が担当する特定分野に詳しければ、他の分野については疎くてもあまり支障がない、というのも事実です。

ですが、地方の中小企業に転職する場合、特に技術者ではなくマネージャーとして就職する場合には、業務知識の深さよりも広さが求められます。

そして、大企業でも中小企業でも、上に行けば行くほど、経営層に近づけば近づくほど、会計の知識がないとどうにもならなくなるのです。

 

<簿記・会計・財務の違い(念のために定義を確認)>

苦手意識から無意識にその面の情報を遠ざけていると、管理職になっても、「簿記」・「会計」・「財務」の区別がついてない人がいます。また、PLとかBSと言われてピンと来ない人もいます。経理畑の人には信じられないかも知れませんが、事実です。

ここで、念の為、簿記・会計・財務の定義についておさらいしておきます。

 

簿記は、英語ではbookingといいます。会社が日々行う取引を記録し、財務諸表を作るための元となる資料(総勘定元帳)を作成するまでの手順・プロセスのことです。

簿記には、「単式簿記」と「複式簿記」がありますが、簿記検定で主に問われる、会社の会計で使用されるのは複式簿記です。

この複式簿記の考え方、1つの取引で必ず2つ(以上)の項目(勘定科目)が増減する、ということが理解できるようになると、数字オンチから脱出できたといっていいでしょう。

僕が簿記の勉強をしたのは15年以上前になりますが、まさに「目から鱗が落ちた」というような気持になったことを今でも覚えています。「複式簿記は人類最高の発明だ」と言われるのも分かる気がします。

 

会計は、英語ではaccountingになります。accountって「説明する」って意味がありますよね。この言葉通り、上の「簿記」で作成した総勘定元帳をベースに、会社の経営状態を説明するための資料、損益計算書(英語でProfit & Loss statementであることから、PLと訳されます)や貸借対照表(英語ではBalance Sheet。BSと訳されます)を作成するプロセスのことです。

 

財務は、英語ではfinancialです。会社の資金(現金や有価証券)の出入りを管理する手法のことで、予算管理、資金繰りや資金調達などを指します。

上の「会計」で作成した損益計算書(PL)では、商品が売れた時点で収益「売上」を計上します(発生主義)。ですが、会社の取引では「月末締めの翌々月払い」なんてことが良くありますよね。商品の販売から現金が入ってくるまでにタイムラグがある訳です。逆に、仕入れ等をしても、支払は翌月で良かったりします。

これらをきちんと管理して、必要な時に必要なお金を用意するのが財務の役割です。

会社は、仮にPLが赤字であっても、資金繰りが出来ている限り存続します。逆に、PLが黒字であっても、必要な時に必要な資金が用意できなければ、現金不足で不渡りを出して倒産する、いわゆる「黒字倒産」という事態が起こったりするのです。

 

<会計ソフトを使う場合でも、簿記の知識は必要だ>

現代では、弥生とか奉行とかの会計ソフトが広く使われていますが、会計全般を理解するには、基本的な仕訳、振替伝票を起票できるだけの簿記の知識は必要です。そして、そこから出来上がる財務諸表、試算表や決算書を見て基本的な分析ができるだけの能力がないと、会議に出席しても内容が理解できないし、銀行との交渉も出来ません。

 

中間管理職だが会計アレルギーの人、数字に苦手意識がある人は、一刻も早く簿記の勉強を始めましょう。

履歴書に書いて効果があるのは日商簿記の2級以上だとは思いますが、とりあえず3級程度の知識があれば、部下の作成した会計伝票に決裁印を押すのもメクラ判ではなくなりますし、財務諸表から自社の経営状況を大まかに把握する程度のことは出来る様になります。

何よりも、数字という指標で会社を理解できるようになると、何か霧が晴れたように、会社の全体像が見えるようになります。転職しようという会社の経営分析にも役立つでしょう。

 

それから、「決算書がわかる本」などというのがよく売られていますが、別に読んで悪いことはないですが、簿記の基本を知らない人がこれらを読んで機械的に理解しようとしても、土台がしっかりしていない土地に建物を建てるようなものだと思います。

いきなりバランスシートを見て、流動比率や当座比率をどう計算するか、の計算式を闇雲に暗記するより先に、バランスシート作成の元となる振替伝票の知識を、基本的なことだけでも理解しておくべきだと思います。

 

簿記3級のテキストは、やさしく書かれたものが多数発売されていますので、書店で実物を見て、自分が理解しやすいと思ったものを購入すればいいでしょう。

本だけで勉強するのが不安な方は、DVD教材を利用するのも良いでしょう。

 

とにかく、会計の基本がわかるようになると、会社という組織の見え方が全然違ってきますよ。